アトピー性皮膚炎について
慢性的に繰り返す湿疹症状です
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹症状が慢性的に繰り返される皮膚疾患です。アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚はバリア機能が低下していることが分かっています。そのため外的刺激の影響を受けやすく、容易に皮膚炎を起こしやすい状態になっています。
このような場合はご相談ください
- 赤みやかさつきがある
- かゆくて皮膚がめくれた
- かゆみがひどい
- 治ったのに再発した
- 対処法が分からない
- どの薬が効くか分からない
など
アトピー性皮膚炎の原因
体質的な原因と環境的な原因が
組み合わさった時に
アトピー性皮膚炎の症状が現れます
体質的な原因
花粉症や喘息、結膜炎など、もともと何らかのアレルギー症状がある方や、ご家族にアレルギー体質の方がいらっしゃる場合(アトピー要因を持つ)が考えられます。また、外部の刺激から皮膚を守るバリア機能が低下していることも発症の原因となっている可能性があります。
環境的な原因
ご自宅や職場など身の回りに何らかのアレルゲン物質がある場合や、ストレス・睡眠不足など不規則な生活習慣も原因となっている可能性があります。また、皮膚へ直接刺激が加わりやすい汗や日光、衣服の繊維などがバリア機能の低下につながっている可能性もあります。身の回りの環境をしっかりと見渡し、原因となっている可能性があるものが無いか一度確認してみることをおすすめします。
予防方法
まずは身近のできることから
対策することが大切です
毎日の生活の中で一つひとつの行動にしっかりと意識を向けて、
変えられるものは改善していきましょう。
簡単にできることはたくさんありますので、
まずは少しずつ意識を変えていくことで症状の改善を目指しましょう。
清潔な室内を保つ
お部屋の中はこまめに清掃するように心がけ、ハウスダストやダニなどのアレルゲン物質の抑制をしましょう。布団を干すことも有効です。
爪のケアをする
かゆみに耐えられず無意識に引っ掻いてしまうことがありますので、爪を短く清潔にしておくことで肌へのダメージを抑えられます。
肌を傷つけない
肌を引っ掻くなどして傷がつくとバリア機能が低下し、症状が悪化する可能性があります。衣服の素材に気を配るなどかゆみを抑えるための工夫が大切です。
ストレスを
溜め込まない
睡眠不足や過労状態を避け、規則正しい生活が大切です。アトピー性皮膚炎だけでなく、ストレスは身体に悪影響を及ぼしますのでうまく対処しましょう。
しっかりとした
保湿
お風呂から出た後すぐに保湿するようにしましょう。水分は5分以内に蒸発すると言われていますので、お風呂と保湿はセットで考えるように意識しましょう。
入浴の
温度を下げる
夏場に発症しやすいように高い温度はかゆみを増します。お風呂に入る時も、ぬるめのお湯で肌に負担の少ない温度を心がけましょう。
治療方法
塗り薬
保湿剤やステロイド外用薬など様々な種類の塗り薬を症状に合わせて処方いたします。アトピー性皮膚炎の治療では、乾燥を防ぐことが重要なためしっかりと保湿してあげることが大切です。また炎症部位には、ステロイド外用薬を処方します。最近はタクロリムス軟膏やプロトピック軟膏、JAK阻害剤軟膏(コレクチム軟膏)、PDE4阻害剤軟膏(モイゼルト軟膏)という非ステロイド外用剤も出ています。
飲み薬
抗ヒスタミン作用のある内服薬や漢方薬を用います。補助的なものでもあり、痒みをこれだけでコントロールできるものではないので外用薬との併用が必要です。その他、免疫抑制薬(プレドニン・ネオーラル等)や最近ではJAK阻害剤の飲み薬も出てきています。
注射
抗ヒスタミン作用のある注射や点滴があります。塗り薬や飲み薬では効果が期待できないような中等症、重症のアトピー性皮膚炎の場合は、皮下注射による治療方法もあります。保険適応の治療にはなりますが費用負担の大きい治療となりますので、医師が注射剤による治療が必要だと判断した場合にのみご案内させていただきます。
近年、注射製剤(抗体製剤)には、2018年に発売された、デュピクセント(抗IL-4/13受容体抗体)をはじめ、ミチーガ(抗IL・31受容体A抗体)等、新しい薬が出ております。
今後も、多くのアトピー性皮膚炎の治療薬が出てくる予定です。
よくあるご質問
どのような保湿剤を使用したら良いでしょうか?
薬局などの市販の保湿剤をお使いいただいても問題ございませんが、判断に迷うようなことがあればご相談ください。診察にお越しいただいた場合には、医師の判断で適切な保湿剤をご提案いたします。また、クリニック内にもドクターズコスメとしてご案内できるものもございます。
ステロイドは小さな子どもでも使用することができますか?
適切に使用すればお子さんでも使用することができます。
使用するときはしっかりと説明します。
日常生活で気を付けられることはありますか?
食習慣、睡眠、疲労、ストレス、規則正しい生活など日常の中で気を付けられることはたくさんあります。予防方法でお伝えしているように、まずはできることから少しずつ始めてみましょう。